乱用処方薬トップ5発表

先日、興味深い報告があったので、睡眠薬・抗不安薬の負の側面を引き続き取り上げる。前回は、規定量でも長く飲むと生じかねない様々な問題を指摘したが、今回は、医療機関の受診をきっかけに引き起こされる処方薬乱用の問題を考えてみたい。
下記のリストを見ていただきたい。覚醒剤や危険ドラッグの使用者を含む薬物関連精神疾患(急性中毒、有害な使用、依存症、精神病性障害など)の患者が、乱用した経験がある処方薬トップ5を示している。不適切な使用を招きやすい処方薬トップ5と言い換えることもできる。国立精神・神経医療研究センターや東京大学などの研究者が、厚生労働省科学研究費補助金を受けて2014年に行った「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」の最新報告書から抜き出してみた。

エチゾラム(デパスなど)120例
フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレースなど)101例
トリアゾラム(ハルシオンなど)95例
ゾルピデム(マイスリーなど)53例
バルビツレート含有剤(ベゲタミン)48例

1位のエチゾラム(チエノジアゼピン系)は、ベンゾジアゼピン系のような依存性が知られている。適量を、使用期間を決めて処方すれば問題は避けられるはずだが、漫然、安易な投薬が事態を深刻化させている。この種の薬の影響は個人差が大きく、悪影響が出にくい患者がいる一方で、「(この薬を飲むと)何とも言えないふわふわした感じになり、苦しさを忘れられる」などとして、不適切使用を続ける人もいる。一時的であっても現実逃避したいという欲求から、乱用する人がいるのだ。

 エチゾラムの適用症は、神経症による不安、緊張、抑うつ、睡眠障害をはじめ、うつ病による不安、緊張、睡眠障害、さらに頸椎けいつい症、腰痛症、筋収縮性頭痛における筋緊張や抑うつなど数多く、後発品の多さもあって、日本では頻繁に処方されている。調査報告書は「この薬剤は向精神薬指定がなされていないために長期処方が可能であることから、(中略)きわめて入手が容易である」「すべての診療科の医師に対して注意を喚起する必要がある」としている。海外ではあまり使われない薬なので問題が国際化せず、向精神薬指定が行われていないのだが、早急な対策が必要だろう。

 2位のフルニトラゼパム(ベンゾジアゼピン系)は、「デート・レイプ・ドラッグ」(飲ませて昏睡こんすい状態にして性的暴行を行う)として知られ、厳しい規制をかけている国が多い。米国などへは、海外旅行で持ち込もうとすると罰せられる恐れがある。

3位のトリアゾラム(ベンゾジアゼピン系)は、依存性が以前から知られている。日本でもこの薬の催眠作用を悪用した事件が起こっている。

4位のゾルピデム(非ベンゾジアゼピン系)も習慣性が以前から指摘され、「麻薬及び向精神薬取締法」の向精神薬指定を受けている。

 5位のベゲタミンは、抗精神病薬のクロルプロマジンと、睡眠薬や抗てんかん薬として使われるフェノバルビタール、さらに抗ヒスタミン作用があるプロメタジンを合わせた配合薬。1957年に発売された古い薬で、日本だけで使われている。鎮静作用の強さから「飲む拘束衣」などの呼び名があり、過量服薬すると死亡する恐れがある。この薬を多く飲んで長く意識を失い、筋肉の一部が壊れて血中に溶け出す横紋筋融解症を起こして死にかけた人を複数取材し、記事にしたこともある。

このような危険性から、ベゲタミンは処方しない医療機関が増えているのに、現在もランキング5位に入るのは不思議だ。薬一辺倒の治療で睡眠障害がこじれ、処方薬依存に陥り、だめ押しのようにベゲタミンが処方される。仕事ができなくなって生活保護に追い込まれ、過量服薬して我を忘れる。私が取材したケースは、みな同じような経緯を辿たどっていた。不適切な治療が、社会的損失を増大させている。

患者の85%が精神科で乱用薬入手

覚醒剤や危険ドラッグを含む薬物問題では、使用する側も批判されがちだが、処方薬の不適切使用の多くは、医師の安易な処方から始まっていることを忘れてはならない。医師の「薬物処方依存症」を社会の力で「治療」しなければ、問題は解決しないのだ。

 今回の調査では、過去1年以内に主に処方薬を乱用した患者の85%が、精神科医療機関で乱用目的の薬を入手したことも分かった。薬物関連の精神疾患を見抜けず、病気を更に悪化させる薬を処方してしまうのが、他ならぬ精神疾患治療の専門家だというのだから病根は深い。

 2010年と2012年の同様の調査でも、精神科での入手率は約75%と報告されており、「乱用薬は内科医などが出している」との精神科医の言い分は通じなくなった。最近は適正処方の機運が高まったはずなのに、今回、更に10ポイントも上昇したのはなぜか。内科などの診療科が睡眠薬や抗不安薬の処方に慎重になる一方で、精神科は相変わらずの処方を続けているということなのか。研究者らは調査報告書で「この数年のうちにマスメディアによる薬物療法に偏向したわが国の精神科医療批判、あるいは、厚生労働省によって2014年10月より実施されている、3剤以上の睡眠薬・抗不安薬処方制限などがあったことを考えると、今回の調査結果は意外であった」と嘆いている。

 不安や不眠などのよくある不調で精神科に通ううちに、薬漬けにされ、処方薬が原因の精神疾患に陥っていく。そうしたマイナスの流れが弱まるどころか、強まったようにも見える今回の結果には慄然りつぜんとする。調査報告書は「精神科治療において安易に睡眠薬・抗不安薬を処方しないように、引き続き啓発に努めていく必要があろう」と、この項目を締めくくっているが、馬耳東風の精神科医たちを、どうしたら啓発できるのだろうか。

        参照:佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス」


 薬物依存などの副作用が知られており「漫然とした継続投与による長期使用を避ける」こととされている向精神薬(ベンゾジアゼピンなど)について、依然として長期間の処方が行われており、かつ精神療法とは離れた処方がなされていると考えられる。2018年度の次期診療報酬改定において向精神薬の処方制限を強化すべきではないか--。

10月18日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった議論が行われました。この日は「精神医療」をテーマに議論が行われています。

10月18日に開催された、「第364回 中央社会保険医療協議会 総会」
10月18日に開催された、「第364回 中央社会保険医療協議会 総会」

依然として、向精神薬の多剤・大量・長期処方がある

向精神薬の適正使用を進める観点から、▼抗不安薬▼睡眠薬▼抗うつ薬▼抗精神病薬―を不適切に多剤・大量処方した場合、処方せん料や処方料、薬剤料などを減算する規定が2014年度の診療報酬改定で創設され、2016年度の前回改定では更なる厳格化が行われました(関連記事はこちら)。

向精神薬の多剤投与制限に係る診療報酬上の対応(2014年度改定)
向精神薬の多剤投与制限に係る診療報酬上の対応(2014年度改定)
向精神薬の多剤投与制限に係る診療報酬上の対応(2016年度改定)
向精神薬の多剤投与制限に係る診療報酬上の対応(2016年度改定)
 
しかし、厚生労働省の調査・分析によれば、2016年6月審査分の外来および調剤レセプトのうち29%において「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」のいずれか3剤以上の処方が含まれており、依然として多剤処方・投与が行われている実態があります。
2016年6月審査分の外来および調剤レセプトのうち29%において「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」のいずれか3剤以上の処方が含まれており、依然として多剤処方・投与が行われている
2016年6月審査分の外来および調剤レセプトのうち29%において「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」のいずれか3剤以上の処方が含まれており、依然として多剤処方・投与が行われている
 
また処方剤数が少なくても「催眠鎮静薬・抗不安薬」のみが処方されるケースがあり、向精神薬1剤処方のおよそ6割(外来レセプトの61.8%、調剤レセプトの57.0%)で、「催眠鎮静薬・抗不安薬」のみの処方となっています。

さらに、向精神薬1剤が処方されている患者の92%では精神療法(通院・在宅精神療法)が算定されておらず、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「精神療法と離れたところで向精神薬が処方されている」点を問題視しています。

向精神薬1剤が処方されている患者の92%では精神療法(通院・在宅精神療法)が算定されていない
向精神薬1剤が処方されている患者の92%では精神療法(通院・在宅精神療法)が算定されていない

一方、向精神薬のベンゾジアゼピンについては、1日の投与量が承認用量の範囲内であっても、長期間の連用によって薬物依存が生じると指摘されています。厚労省が国内で報告された副作用情報を分析したところ、薬物依存関連事象報告の多い上位5品目のうち4品目はベンゾジアゼピンで、「1日投与量が承認用量の範囲で15日以上の投与」が行われていた症例のほうが、「1日投与量が承認用量を超え、15日以上の投与」が行われていた症例よりも薬物依存が多いことなどが分かっています(関連記事はこちらこちら)。

ベンゾジアゼピンの長期投与により、薬物依存の副作用が発生することが知られている
ベンゾジアゼピンの長期投与により、薬物依存の副作用が発生することが知られている
 
 この点、厚労省の調査・分析によれば、▼向精神薬を1剤以上含む処方▼薬物依存関連事象が多く報告されている品目を含む処方--のいずれにおいても、8割超が「投与期間22日以上」となっていることが分かりました。「薬物依存が生じやすい処方が、依然として数多く行われている」と言えます。
▼向精神薬を1剤以上含む処方▼薬物依存関連事象が多く報告されている品目を含む処方--のいずれにおいても、8割超が「投与期間22日以上」となっている
▼向精神薬を1剤以上含む処方▼薬物依存関連事象が多く報告されている品目を含む処方--のいずれにおいても、8割超が「投与期間22日以上」となっている
 
このように、依然として向精神薬の多剤投与が行われ、薬物依存性のある薬剤の長期処方が行われている状況を踏まえて迫井医療課長は「薬剤数や処方期間などの取扱いの見直し」や「薬剤師・薬局などと連携した適切な薬物療法の推進に資する評価」を検討してはどうかと提案しています。この「向精神薬の処方制限の強化」方向には診療側・支払側ともに異論を唱えてはおらず、2018年度の次期改定において、精神科に限らず「向精神薬を不適切に多剤・大量・長期処方などしている」医療機関や薬局には厳しいペナルティがかけられる見込みです。

この点、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、健康保険組合の被保険者・被扶養者のレセプトを調査・分析した結果から、▼抗不安薬・睡眠薬が処方されたレセプトのうち65%程度は精神科ではない▼抗不安薬・睡眠薬の投与期間を見ると、3割程度が半年以上、1割程度が1年以上、2%が2年以上となっており長期投与されているケースも少なくない--といったことが明らかになったと報告(近く健保連から提言が行われる、関連記事はこちら)。薬物依存を避けるために、▼向精神薬の多剤投与制限を強化(種類数の厳格化)する▼1種類であっても処方日数に制限を設ける--ことが必要と指摘。また「一部の一般内科などで向精神薬が漫然と長期処方されている」点についても問題提起しました。

これに対し、診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)と松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「医師には総合的な診療能力が求められるようになっており、内科であっても向精神薬を処方するケースもある」「患者が向精神薬を所望するケースも少なくなく、保険者が被保険者・被扶養者教育をすべき」旨を述べましたが、同じく診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は「必要があって向精神薬を多剤投与しなければならない場合、精神科専門療法を行っていることを条件に多剤投与を認める」といった制限も検討する費用があると述べ、幸野委員の問題提起と同趣旨のコメントをしています。

なお、幸野委員は「医療機関とかかりつけ薬局・薬剤師との連携は現行点数で十分に評価されており、新たな評価は不要」といった旨の見解を明らかにしています。

認知症専門診断管理料1、「連携型の病院」でも算定可能となる方向

 高齢化の進展とともに認知症患者も急増すると見込まれています。そうした中で認知症治療の入り口となる「早期鑑別診断」が重視されています。

 認知症と一口に言っても、基礎疾患はさまざまです。迫井医療課長は▼内分泌・代謝性疾患▼感染性疾患▼腫瘍性疾患▼外傷性疾患▼脳脊髄液循環障害▼免疫疾患―などでは、早期に診断し、治療することが可能であると指摘し、「鑑別診断」(基礎疾患が何かの診断)を充実させることが必要と強調しました。

 この早期鑑別診断を進めるために厚労省は「認知症疾患医療センター」を指定しており、診療報酬上の評価も行われています。具体的には、▼基幹型(総合病院)16か所▼地域型(単科精神科病院など)356か所▼診療所型―の3タイプがあり、基幹型と地域型では【認知症専門診断管理料1】の「イ」(700点)を、診療所型では【同管理料1】の「ロ」(500点)を算定できます。

 ところで本年度(2017年度)から、これまでの診療所型が「連携型」に組み替えられ、病院も基幹型・地域型と連携した早期認知症対応を行えることとなりました。しかし、現在の診療報酬上は「診療所」でしか【認知症専門診断管理料1】の「ロ」を算定できないため、迫井医療課長は「認知症専門診断管理料の見直し」を検討してはどうかと提案しています。この提案には特段の異論は出ておらず、例えば、「ロ」を連携型として病院も算定可能とする、「ハ」として連携型病院の点数を新設する、ことなどが検討されることになります。

認知症疾患医療センターの「診療所型」が2019年度から「連携型」となり、病院も対象となった
認知症疾患医療センターの「診療所型」が2019年度から「連携型」となり、病院も対象となった
 
 なお、連携型の施設には、▼認知症診断を行う専門医の配置▼看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者などの配置▼急性期入院治療を行える医療機関との連携体制確保▼CTやMRI、SPECT(単一光子放射断層撮影、Single photon emission computed tomography)などの整備―などが必要とされています。

  


「暴力からの避難方法」

精神科医・筑波大学教授 斎藤環先生による、家庭内暴力に対する対処法・避難方法を掲載致します。

本来家族会でご紹介させていただいているのですが
遠方に住んでいて家族会に参加できない方のために
対処法の一部をアップさせていただきます。
*詳細について話し合いたい方は是非家族会にご参加下さい。

暴力と対決せず、暴力を拒否するには、暴力から避難することです。家族にとって、大きな負担になると思いますが、適切に行なえば、かなり確実な効果があると言われていますが、リスクも伴います。タイミングを誤ると、失敗する可能性もありますので、治療としての「避難」を実践する場合は、専門家と連携しながら行なうことがよいです。避難が有効であのは、あくまでもそれが「適切になされた場合のみ」なので「ただ逃げればいい」という短絡的な理解は危険なのでしないで下さい。そのことを見据えながら以下の避難ポイントを参考にして下さい。

1、専門家と両親の間で、避難の方針と方法について十分に
  打ち合わせる。
2、大きな暴力をきっかけに避難する
 (きっかけなしに避難することはむしろ危険です)
3、怪我をしたような場合多少大げさでも入院したほうがよい。
4、避難は必ず、病虜のあった当日のうちに完了する。
5、当日中に、必ず親から本人に電話を入れる。
6、電話では「これから定期的に連絡する、生活の心配は
  いらない、いずれは帰るがいつになるかは判らない。
  どこにいるかも教えられない。
  暴力が完全におさまるまでは帰らない」と伝える。
7、この方針は本人の治療のために専門家と相談し、家族全員の
  同意を得て決めたことを伝える。
8、その後は、定期的に本人に電話を入れ、必ず5分間だけ
  話す。時間がきたら途中でも切る。
9、本人が落ち着いたタイミングを見計らって、一時的に帰宅や
  外泊を繰り返す。
10、外泊時の様子で、特に暴力もなく、また母親と穏やかに
  会話できる状態で安定したら、帰宅する。
11、以上のことを、専門家との親密な連携のもとで行なう。
12、親の側は、暴力や脅しに屈せず、誠実で毅然とした態度で
   ことに当たる。
13、帰宅までに要する期間はさまざまですが、軽いもので
   あれば一ヶ月程度でも十分に有効であり、長くても半年
   ほどで帰宅できることが多い。

避難することは見捨てることではなく、互いの人権と福祉を守るべきことなのです。恐怖と怒りで脳が萎縮してしまい行動できないことがありますので、ご家族自身のサポートが必要なので、専門家に自分自身を助けて欲しいと相談して下さい。
相談する際に気をつけて頂きたい点は、親もパートナーも一杯一杯になっているので感情的に話しをすると、暴言を吐く人というマイナスイメージを与えてしまいます。
また、無表情で落ち着いて話しをすると、切羽詰まった状態では無いと勘違いされてしまうこともあります。

ですから、「自分を助けて欲しい」と繰り返し切実に訴えることがポイントです。
勇気を出して一歩踏み出してみてください。
                     BPD家族会代表
当時者さんやご家族に不安を感じる場所や状況をすべてリストアップしてもらい、不安の程度の強いものから弱いものへと順に並び替えてもらいます。
その際、最も強い不安を感じる場面を100点とし、不安を感じない状態を0点
として、書き出したすべての場面に対して評点(点数を自覚的障害単位SUD)
します。
実施においては、一般的に不安の少ない場面からトライしてください。
何日か行い、不安の弱い場面に慣れ不安がなくなってきたら、次のステップに
チャレンジして下さい。不安な状況があっても、回避行動をとらなくなtぅたら
少し段階を上げていき、少し上の強い不安に立ち向かってみてください。
(無理はしないようにしてくださいね)

          視線恐怖症の不安階層表(例)
段階不安場面SUD
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
家の人と自宅で話をする
仲のよい友達と喫茶店で話をする
駅のプラットホームで並んでいる
銀行の窓口で係の人に話し掛ける
電車の中で知らない人と視線が合う
課の朝礼で挨拶する
人ごみの中を歩いている
課の企画会議で発表する
取引先の人と会社のロビーで話をする
取引先の人と取引先で話をする
普段会うことのない上司のいる会議で新しい企画を発表する
5
20
30
40
50
70
70
80
85
90
100

不安や緊張解消のコツ
不安になったり緊張したりするのは、危険に直面する可能性のある状況に対応
しようとする心や体の自然な反応です。ほどほどに不安を感じたり緊張
したりすることで、私たちは危険から身を守っているのです。
しかし、それが極端になりすぎると、心や体が固まって危険な状況にうまく
対処できなくなってしまいます。だからといって、怖いと考えて問題から目を
そらしてばかりいると、いつも間にか問題が大きくなりすぎて、対応できなく
なってしまいます。

そうならないためにどうしたらいいでしょうか?
それは、少しくらい不安になったり緊張したりしたとしても、恐がりすぎずに
問題に向き合うことが大切になります。

頭のなかでいくら考えても、その問題に対処できるかどうかはわかりません。
実際に問題に取り組んで、確かめてみる必要があるのです。

それが大事だと思うのなら、たとえ怖かったとしても、行動して確かめなくては
なりません。そのときには、できることから少しずつ取り組むようにします。

いくつか課題を決めて、少しずつそれをこなしていくようにします。
できるかできないか、白か黒かで考えないで、まずできそうなことから
取り組んで、最終的に目標に到達できるようにしてゆきます。

取り組む課題を決めた時には、頭の中で考えないで、紙に書き出すようにした
ほうが良いです。頭のなかだけで考えていると、いろいろな考えが浮かんできて
まとまらなくなります。
目に見えるように紙に書き出してみると、冷静に課題に向き合えるようになります。                         参照資料:小野裕

不安階層表は不安を感じすぎずに、不安なことに取り組む第一歩になれれば
幸いです。どうぞ試してくてくださいね!
                       BPD家族会代表 奥野栄子

9月頃から当時者さんの症状は悪化してゆきます。
12月〜1月(年末年始)4月(新学期)(新入社員入社)
頃は当時者さんの症状が悪化のピークに陥りやすくなります。

ご家族の多くは、問題が生じてから慌てて対応法を学んだり、
カウンセリングを受けたり勉強会にご参加される方が多いのですが、問題が生じてからの対策では「対応は困難となります」。

日々の積み重ねがとても重要となりますので、カウンセリングや定例会や勉強会に参加して対応法やご自身の心のモチベーションの保ち方やメンテナンスをしておかれることをお勧めします!

*早目早めの対策を!


うつ病にはさまざまな症状があります

うつ病は、こころとからだに次のような症状があらわれます。

(こころの症状)
「気分の落ち込み」
・気分が落ち込み、ゆううつな気分になる。
・悲しい気持ちになる。
・何の希望もなくなる

「意欲の低下」
・これまで好きだったことへの興味や喜びがなくなる。
・気力が低下して、何をするにもおっくうになる。
・人づきあいもいやになる。
・仕事をしたくなくなる。
・新聞やテレビを見なくなる。
・身だしなみに関心を払わなくなる。

「あせり、罪悪感」
・あせってイライラする。
・根拠もなく、自分の責任だと思う。
・過去の小さなことを思い出しては悩む。

「思考力の低下」
・集中力がなくなり、能率が低下する。
・物事の判断ができなくなる。

(からだの症状)
「睡眠」
・眠れない
・眠りが浅かったり、朝早く目が覚めたりする。
・朝、目覚めたときが一番ゆううつである。
・睡眠不足から、頭痛や肩こりに悩まされる。

「食欲」
・食欲がなくなる。
・何を食べてもおいしいと思えず、砂をかんでいるようだ。
・体重が減った(または増えた)
・胃がもたれる。むかつきがある。

「自律神経系」
・微熱が続く
・ときどきめまいがする
・息切れがする
・冷や汗や寝汗をかく。
・からだがだるい
・働いていないのに、疲れやすい。
・からだの働きが遅くなる。
・トイレが近くなる。
・便秘・下痢に悩まされる。

「ホルモン系」
・生理不純が続く。
・性欲が落ちる。

うつ病は、こころとからだの両方に症状があらわれます。
特に原因がわからないのに、こうした症状が1ヶ月以上続いて
いる場合は、うつ病の可能性も考えられます。

うつ病の発症には、病気やけが、学校や職場の人間関係、子どもの独立、
家族や友人との死別といった日常生活のストレスとも関係があるといわれて
います。ストレスの感じ方には、個人差があり、他人から見れば嬉しと思われる
ことでも、本人にとっては重荷でストレスと感じることもあります。
また、自分ではストレスを自覚しなくても、からだやこころに負担が
かかっていることもあります。

環境変化によるプレッシャー
就職・昇進・転勤・転職・入学・転校・結婚・出産など

からだへのダメージ
病気・けが

何かを失うことへの不安・むなしさ
子どもの独立・失業・離婚・退職・閉経など

別れの悲しみ
家族や友人との死別・失恋など

*奥野コラム
うつ病は環境・からだ・失うことからの不安・愛する人との死別など
さまざまなストレスからうつ病が発症するといわれています。
うつ病と診断される人の根の部分は真面目で責任感が強いため、
人に迷惑をかけることを避け、しんどいことを隠し通そうとします。
うつで何もできなくなる自分を強く否定しうつ病であることを
「嫌がり認めたがりません」。

しかし、

BPDさんの特徴には、「親からの愛情不足や虐待を訴える」ことが多く
人生の全ての失敗は「親の育て方」のせいで自分は不幸なのだと感じています。
また、BPDという障害は認められないけれど、毎日からだやこころがしんどく
生きづらさを感じていて、自分は「うつ病」で苦しいと訴えることが多く
周囲に「自分はうつ病」で何もできなくなってしまう自分を認めて欲しい、
親の育て方の責任であることを認め苦しさを「理解して欲しい」と強く
望んでいる特徴があります。

BPDは軽いうつ状態や双極二型が合併するため診断がハッキリつけられない
ことが多いのです。また、BPDの原点は「神経症」といわれていたので
BPDと神経症は切り離せない病態です。

今日のコラムから「うつ病」の人の反応と「BPD」の人の反応の
違いがお分かりですか?

うつ病の人の特徴は、責任感が強く人に心配かけたくないといった特徴がある
のにたいし、BPDさんの特徴は、理解されたい、不幸になった責任を誰かにとらせるといった特徴や誰かに依存していないと寂しくていられないといった特徴がみられます。また、うつ病の人はうつを認めたがらないのにたいし、
BPDの人の特徴にはうつ病を認めてもらいたいという気持ちが
強いように思います。

*BPDさんは健康な状態に回復すれば、彼らがもともと持っている
 エネルギッシュな力と才能に溢れているので社会に貢献し成功者になる人が
 多いのです!

                   







       単なる気の持ちようでは治らない!

周囲の人に「ゆううつな気分だ」と訴えると、「気の持ちようだ」とか「気にしすぎ」などと言われることがあるかもしれません。

しかし、うつ病は、脳内の神経伝達物質の働きが低下して活力不足となり、

ゆううつな気分に見舞われるため、単なる気の持ちようではなく、治療が必要となります。

気分の落ち込みとうつ病にはいくつかの違いがあります。
失恋をしたり、仕事で大きな失敗をしたりすると、
気分は落ち込みます。

しかし、多くの場合は(数日)で回復し、また元気に頑張ろうと思えるようになります。ところが、いつまでたっても気分が沈んだまま、回復せず、1ヶ月以上もこのような状態が続く場合は、うつ病の可能性が疑われます。

また、落ち込みの程度はいつも同じではなく、多くの場合朝に重く、夕方になると軽くなる傾向があります。このように、1日の中で気分の落ち込みに

変化があることを「日内変動」といい、うつ病の特徴の1つにあげられます。

この他、悩みや心配事があって眠れなかった経験のある人も多いといわれています。不眠はうつ病で最もよくあらわれる症状の一つです。

うつ病の場合は夜に眠れないこともありますが、早朝から目が覚めてしまうことも多いようです。

               参考資料 こころのくすり箱


 追記コメント 
*境界性パーソナリティ障害(BPD)は未熟型とも言われています。
 
幼い性質ゆえに、周囲から理解されなかったり、認めてもらえなかったり、叱られたりすることが多いことで、うち病が併発することがあります。

未熟型の性質を成熟型に整えるためには(トレーング)が必要ですが、うつ病は未熟性からくるものではなく、周囲や環境の影響を受けストレスが発生し、脳内神経伝達の働きが低下し活動が低下してゆくので、表面に見える状態が幼く映ることがあります。うつ病とBPDの特徴や違いをちゃんと見分けなければ
「全く真逆な」治療や支援につながってしまいます。
        
         BPD家族会 心理カウンセラー 奥野栄子

 


「うつ病は決して珍しい病気ではない」

 うつ病は、ゆううつ感や無気力な状態が長い期間回復せず、
 日常生活に支障をきたすようになってしまう病気です。

 気分が落ち込むなどの「こころの不調」だけでなく、
 だるさ、不眠、食欲低下、頭痛などの「からだの不調」
 もみられます。

 うつ病はだれでもなる可能性があり、決して珍しい病気では
 ありません。

 厚生労働省が行なった最近の研究では、日本人におけるうつ病
 の有病率は約6、2%と報告されており、日本人の16人に
 1人は一生に一度はうつ病にかかる可能性があると考えられ
 ます。

 また、女性のうつ病の有病率は8、4%で、男性の3、8%と
 比較すると2倍もうつ病になりやすいといわれています。
  
 参照資料 こころのくすり箱

 *繰り返しますが、BPDはうつ病も合併します。
 BPDだけに着目されることでうつ病を見過ごされてしまい
 周囲のことばや振るまいで酷く傷ついていることがあり、
 症状を悪化させることがあります。

 また、家族も「自分は大丈夫」「自分はおかしくない」と
 思い込み、体に表れる「サイン」に気づかず
 過ごしていることがあります。
 こういう状態では、当時者をサポートするどころでは
 ありません!
 まずは、ご自身の体と心のメンテナンスを心かけてください。


 BPD家族会代表 奥野栄子


「こころとからだの不調」

ゆううつな気分になる、イライラするなどの
「こころの不調」や、眠れない、頭が痛い、
肩がこる、食欲が低下するといった「からだ
の不調」は、日常生活でよく経験します。
しばらくすると、このような不調が自然に
改善する場合は特に問題はありません。

しかし、

こころやからだの不調が長く続いたり、
繰り返し起こったりする場合は、
放っておいても自然に治ることは少ないため、
早い時期に医療機関へ行って医師に相談
してみることが大切です。
もしかしたら、単なる不調ではなく、
その背景にはうつ病などのこころの病気が
隠れているかもしれません。

●ゆうつうな気分になる
●肩がこる
●眠れない
●食欲がない
不調が続いたり、繰り返している場合は
無理をしないで専門家に相談しましょう!

参照資料 こころのくすり箱

*帝京大学教授 林直樹先生による
 家族健康調査によると7割〜8割の家族が
 うつ状態・もしくはうつ病が発症していました。

「一部分をご紹介します」
 GHQー12 健康調査
 GHQ−12健康調査(4)は、気分障害
 不安障害のスクリーニングに用いられる
 評価尺度であう。その得点4あるいは5以上を
 「陽性」とした場合、感度83ー82%、
 特異度60−90%を示すと報告されている。
  本調査のGHQ12の得点の平均は8、5
 であった。それは、「回答者(家族)において
 精神保健問題が生じている可能性が高い
 ことを示す結果であった」カットオフポイント
 4点、5点を超えるのは、それぞれ84%で
 あり、調査対象の大半数を占めていた。

 家族の労苦、負担、危機的な状況への恐怖心
 家族関係の悪化により、高い数値で家族の
 健康状態が悪いという結果がでました。
 体や心の不調が続いているならば
 専門家にかかってください。

 また、
 当時者さんにお伝えしたいことは、
 BPD症状は一つではありません。
 BPDは幾つもの精神疾病が合併する障害です。
 BPDの治療が上手く機能しなくても、
 体の不調が長く続いたり、感情のコントロールが
 困難な時は、我慢せず専門家に是非ご相談
 下さい。心理的アプローチと治療的アプローチ
 両方活用するとよいでしょう。

 BPD家族会代表 奥野栄子

うつ病をはじめとするあらゆる精神疾患についての
発症のメカニズムは十分には解明されていません。

あくまでも「仮説」として過去から現在まで
考えられてきた発症に到るメカニズムについて解説します。

こころや身体の働きを活性化させ、意欲や気力を
コントロールしている場所は、「脳内」にあります。

脳内にはモノアミンという神経伝達物質があり、
これが、正常に働いていると、こころやからだには
活力があって、健康を保つことができるのですが、
モノアミンがうまく働くなくなると、こころやからだに
憂うつな気分
沈んだ気持ち
何ごとも興味がわかない。
食欲増減
睡眠の問題
話し方や動作が鈍くなり、イライラしたり落ち着きがなくなる。
疲れを感じたり、気力がないと感じる。
自分には価値がないと感じたり、罪の意識を感じる。
集中したり決断することが難しくなる。
生きていたくないと思う。
めまいがする。
肩が凝る。
胃腸の不快。
などの症状があらわれるようになります。

このことからお分かりのように
「感情をコントロールしているのは心じゃなく、実は神経物質なのです」

*モノアミン類
(セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン)

*神経物質の種類
・エンドルフィン
・ドーパミン
・アドレナリン
・ノルアドレナリン
・セロトニン